晩鐘

 佐藤愛子 晩鐘 を読む。

前回読んだ本から 著者に興味を持つようになった。以前はなじめなかった考え方が最近は面白い。

 

 本の最後に「皆、かく生きた、という事実があるだけです。その人生の意味とか、徒労であったとか、立派であったとか、辛かっただろうとか、幸福とか不幸とか、そんなことをいう必要などないのです。わからなくてもいい。わからないままに、かく生きたという事実の前に私は沈黙して頭を下げる。それだけです。……気のせいでしょうか、微かに遠く、低い鐘の音が聞こえます。でもその鐘の音は、あるいは他の人には聞こえない、私にだけ聞えているのかもしれません」   (完)

 

 晩鐘というミレーの絵画を思い出した。畑作業の夫婦が夕暮れに教会から聞こえる鐘に祈りを捧げる姿。個性の強い著者が荒波くだける人生で身に着けた考え方が痛快。「老いた人間が耐えなければならないのは、肉体の衰えだけではない、言葉にならない孤独感の重たさであることが、今わかりました」と書く。みんな死んで、残ったものは祈ることだけになるのかもしれません。

 

 きょうは職場で職員にフェースシールドが配布された。利用者さんの送迎時に使用する。使った後は消毒する。防止対策が増えていく。