かくて老兵は消えゆく

佐藤愛子 著 かくて老兵は消えゆく

 文藝春秋 2013年

 

いつ、どんなふうにして「女」を諦めるのか、それは女として生まれた者が皆、通過する「その時」なのである。……そうこうしているうちに歯の具合が悪い、それから眼も…耳も…と増えていき、日常の話題がいつしか血圧やらコレステロールの数値、老化防止や認知症の予防の知識になっていく。「第二次その時」がきたのである。「その時」は一回だけではなかったのだ。…「第三次その時」が待っている。…ま、いいか…笑って、受け容れることにする。

 長寿はめでたくなくなった。…かつて長寿がめでたかったのは、全体に短命で長寿が珍しかったからであろう。…「老害」などといわれて孤立する。…人はみないい加減に消えた方がよい。…神様はそうお造りになったのだから。

 

きょうの仕事で、出会った「ありがとう」のことばと裏腹に眼が寂し気な利用者さん。老人になるのは寂しいことなのだと思う。体の痛みに「痛い、痛い」とことばにされる方。寿命を全うする気力が必要になる。第三次その時までを 受け入れている利用者さんの姿が本のことばと重なる。ただ著者にあるのは強い気力。第二次その時にいる間に、気力を蓄えよう。