ベニシアと正 人生の秋に

梶山 正、ベニシア・スタンリー・スミス著

ベニシアと正 人生の秋に

             風土社 2020年

2015年「目が見えない」とベニシア。2018年後部皮質萎縮症と診断。治療法はない。

アルツハイマー病の一種。

1日3回の食事は正が作る。

 

正へ もし何か問題があって、そればかり気にしていたら問題は問題のまま何も変わらない。でも、もし希望さえあれば自分のパワーで何かが起こる。ポシティブに考えればハッピーになる。これは私たちが学ばないといけないことね。いま、正は一生懸命、私のためにごはんをつくってくれている。……もし、この病気を治せたら私は正にごはんをつくりたい。それができればいいなと思う。(ベニシア

 

ベニシアへ 目が見えなくなってきたベニシアは、現在、人の助けを頼りにしている。……ベニシアは年老いた今、子どもたちにそれを求める気持ちだ。ところが彼らはそれをあまりわかっていないようだ。……僕はベニシアから頼りにされている。……暗いものに目を向けず人生を楽しむ努力をしていこう。ベニシア、これからもおいしいごはんをつくりますよ。(正)

 

 読み終わって、夫婦の絆を思った。

以前放映の、NHK番組「京都 大原 ベニシア手づくり暮らし」を観ると気持ちが落ち着いた。不便な里山暮らしへは自分ではできないが、暮らしを楽しむベニシアさんは魅力的だった。病気のため番組は終了した。著書は病気になってからの夫婦の風景を描いている。「希望さえあれば」、励みになることばだ。「正にごはんをつくりたい」、自分が普段していることはシアワセなんだと確認できた。散歩すること、ごはんをつくること、暮らしを楽しむこと、普段がありがたことなんだ。大切にしよう。