じい散歩

藤野千夜 著  じい散歩  双葉車 2020年12月

 

主人公89歳、妻88歳。主人公は散歩が趣味。妻は散歩先での夫の浮気をしつこく疑っている。長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男はしっかり者の、自称・長女。末っ子は事業に失敗して借金まみれ。最後の文章……今日も老いた私が、老いた妻の世話を焼いています。いざとなったら、息子たちがちゃんとするだろうなんて、そんな甘い期待はもうかけらもありません。いずれ私に介護が必要になったら、さっさと全財産を処分して、施設に入ろうと決めています。もしそれで息子たちが困るなら、困ればいい。今はまだこの家で妻の面倒をみなくちゃいけません。そこまでが私の人生の仕事、と覚悟しています。私94歳、妻は93歳になりました……

 

感想:妻が認知症へすすむ様子とこれまでたどった過去が交互に描かれる物語。懸命に過ごした時間があり、今の老いの時間がある、継続した一連の時間。笑いとばしながら受け止めて過ごしていこうと勇気が出た。