人生の決算書

曽野綾子 著 人生の決算書 文藝春秋 2022年2月

 

85歳という歳のせいだろうか、このごろ、生活の中で何より整理が好きになった。……近い将来私が死ねば、物は意味がなくなるし、残っていると人に手数をかけるというものさえあるかもしれない。……自分という所有者が、この世にいなくなれば、残されたものに意味を感じる人はほとんどいない。それより捨てて、そこに新しい空間を創れば、後に生き残る人が、どのような世界も創出できる。……おしまいの予感は悲しい、という人がいるが、私にはほとんどそんなことはない。無事に終わってよかったな、……新しいことの始まりの予感の方が強い。……人やものはすべて、自分の立ち位置で、任務を果たしている。おしまいのページがなければ、トップのページもない。……次第に「劣等生」の魅力を知るようになるのはどうしてだろう。だから人生は飽きないのだ。

 

感想:現在90歳の著者が、2010~2019年に書いたエッセイをまとめた本。この 立ち位置からの眺め と題したエッセイに惹かれた。おしまいのページへ向かって どのようにすすむか。その前に整理をして 新しい空間を創ろう というピンポイントはすぐ実行できるからいい。