金沢市にある 加賀藩高級武家庭園 西田家庭園 玉泉園 に行く。
サブタイトルは 静寂(しじま)のなかに いにしえを想う。
説明によると、玉泉園の築庭が全国に六例が確認されるだけで、幻の様式とされる「玉潤様式」。
「玉潤」は中国南宋時代の画僧。特色としては、①築山を二つ設けてある ②築山の間に滝をを組んでいある ③滝の上部に石橋(通天橋)を組んである ④石橋の上部は洞窟式になっている。
玉泉園はこの四つの特色がすべて備わっている。
玉泉園は720坪、兼六園の樹木を背景とし、山畔崖地を利用した上下二段式の池泉回遊式庭園。
江戸時代初期に着工され、庭園内に茂巨木類は作庭以前から茂っていた。名は加賀二代藩主前田利長の令室「玉泉院」からとった。水源は兼六園ことじ灯篭付近の曲水から引いている。
滝の流れる上にお茶室があるとのこと。崖を登るようにしてたどりつくと、青もみじで静寂の世界。
さい雪亭でお抹茶をいただく。お運びの方は紫鉄線花のような着物に袱紗を腰につけた日本美人。
お茶花は紫鉄線花。
上生菓子は水本製 鉄線花。他に生姜あられと、厄除けできるという金杯に前田家の菓子くるみ菓子と金平糖。ふわふわに泡立つお抹茶が美味しい。
「もう一服いかがですか」と言われ「充分です」とこたえました。主菓子と他のお菓子があったから、最初に主菓子をいただき、お抹茶、他のお菓子、お抹茶かなとチラッと思った。残しておくと催促しているようだから全部食べました。残しておけばよかったかなぁ、常套句でよかったかなぁ。
誰もいない空間は贅沢時間です。お抹茶をいただきながら眺める青もみじの庭は太陽にキラキラ輝き、夢世界。世間のいろんなことは 夢世界では すべて許されるよう。
さい雪亭の右奥手に本席がある。さい雪亭茶室は、金沢市に現存する茶室としては最古のもので築後300年以上。一畳と台目二畳の小間で、1600年代中頃に京都から茶道奉行として来仕した千仙そう宗室(裏千家始祖)の指導で造られた。父、千宗旦の侘茶を表現した質素な造り。
明治38年西田家所有となり、昭和46年保存会が寄贈を受け一般公開された。
小さな小さな簡素な茶室。これが侘びだと しみじみ眺めました。
静かな簡素な雰囲気がとても好き。こういう暮らしが憧れです。
泉鏡花記念館、玉泉園、加賀友禅会館を歩きました。
加賀友禅会館前を進むと、松山寺の山門が見えます。八坂を登りきったところに加賀八家奥村家の上屋敷跡。そして安楽寺。前田家の菩提寺 宝円寺へ。俵屋宗達のお墓があります。いし曳の道(小立野通り)を歩いて金沢くらし博物館へ。天徳院は行ったことがあるので途中で引き返しました。
泉鏡花記念館ではミニシアターをゆっくり観ました。今まで考えていた鏡花のイメージは幽霊…が変わりました。ことばが素晴らしいとの評価に本を読んでみたいと興味がわきました。美しい、なつかしい、ゆかしい、鏡花にとっては同一だと坂東玉三郎のことばが新鮮です。
加賀友禅会館では数百万円する着物を近くで見ることができ、素晴らしさに感動しました。本物は気持ちがワクワクします。
いし曳きの道は 住宅がある道路を抜けると坂道が続きました。生活者の空気が漂いました。
金沢くらしの博物館は、明治32年完成の石川県第二中学校を再利用している。城下町として発達した金沢は、藩主前田家が京文化を熱心に取り入れてきた。一方で、江戸の影響を受けた武家文化も残る。金沢の風習、生活用具、料理、お祭りなどが展示。
私の知る風習、様式がまるごとありました。これらを遠い時代の様式として鑑賞する世代が増えてくるのだと思うと、そろそろ私も展示される側になるのかもしれません。